中坊「黄門」と法曹大政翼賛会 

法曹界における「ジジ・公連立」

助さん格さんは水戸黄門に逆らえるか?

どう思う?答えは、誰でもわかるがな。助さん格さんが、黄門さまに逆らったらあのシリーズの前提がくずれてしまうやろ。印籠だしても、「なんやねん、爺さん、それ」てなもんや。絵にならん。

住宅金融債権管理機構会社が、安田弁護士を告訴したんは、逮捕した翌々日、
やった。むろん、はじめから打ち合わせ済みのことや。この訴えた住管の社長が
中坊公平。弁護士界の重鎮というか、「日本の名士」やね。総理大臣待望説もあ
るぐらいや。

この気持ちには、テレビの水戸黄門みとる、みたいな気分がある。「中坊さんな
ら、悪い代官、ヤクザの親分、町の不良もみなやっつけてくれはるやろ」みたい
な「観客民主主義」やな。



さて、その住管、やけど、中坊は「1兆3500億円回収しましたでえ」とい
ばっておる。(毎日新聞1月3日)で、その会社が、安田を訴えよった。住管、
いうたら中坊以下、全部弁護士の「会社」や。つまり弁護士が弁護士を「司法」
の力で逮捕させる、ちゅう「共喰い」現象やね。そおいうことを「正義」の名に
おいてやりよる。中坊いうのは、そのときの「水戸黄門」みたいなものや。「黄
門さんがいわはるんやから、きっと安田弁護士は悪いにちがいない」とかおもて
しまう。それにのって、法務大臣のアホまで、うっかり「今の弁護士はアホや」
とホンネをもらしよったやろ。法務大臣になめられるようになったら法曹界もお
ちめや。


さて、その「黄門」中坊の住管、という会社だが、「一体、ほなら客は誰やねん」
と考えたことあるか?この検証をしっかりやらんと、「黄門」の助・格になる、というのがわしのいいたいこっちゃ。

あの会社は、あれは、もともと6000億円の農協系不良資金回収の政治どたば
た劇の中で、国民の憤激をやわらげるために、官僚と政治家がつくりよった。
で、その結果、より巨額の、実際にいくらつかわれるかだれもわからん60兆円
という気のとおくなるような「枠組」なるものが作られて、それが銀行、ゼネコ
ンの救済に使われることになる、その道筋を作った、ハシリやった。

当初、「なんで、わしら関係ない国民の税金で、農協の銀行なんか助けるねん?」
と資本主義的にみても、まっとうな疑問がたくさん出されたわけだが、今、もう
だれもそんなことを言わない。

そのあと、あまりに巨額のわけのわからんカネががっぽがっぽ投入されてしもた
からや。なにがなんやらわからんようになってしもた。なに、みんな未来からの
借金、気の遠くなるような額やねんけどな。「いずれ景気ようなったら返せる」
とかいうとるけど、いうとるやつは誰も返す気なんかない。今の若いやつら、と
子どもたちが返すわけや。ツケの先送りにすぎん。そのカラクリ回し、みたいな
役をやっとるのが中坊やんけ。どうもこれ、わかってないヤツが多すぎる。
中坊不公平、ちゅうぐらいの事態がおきとるのにみなぼけーっとしとる。

このような事態を引き出すのに、中坊いうおっさんは、ものすごい役に
たつタレントやった、と思う。実在の、水戸光圀の役割が「徳川家の安泰」であったと同じように、彼の役割は「現体制の維持」以外の何者でもない。「変革」を回避する切り札、としての水戸黄門、や。

 その一つの証拠に、住管は、安田弁護士を告発しておいて、ほんまはいくらで
もおる真に悪い弁護士(わしの知り合いもたんとおるけどな、わっはっは)や、
そもそもこのような巨額の「損失補填」をせないかんようになった大本の、政治
家、官僚なんかは1人も告訴しておらない。やるのは日債銀の元の頭取の退職金
返せとか(まだ、返してないんやけどな)、住銀のアホを訴えるとか、要するに
「黄門パフォーマンス」ばっかりなのや。表の顔と中味は全然ちゃうんやで。ま
あ、「黄門」は表のだけ顔だからそれが狙い、なんだが。その意味では「闇の必
殺仕掛け人」がおるのかもしれん。

こんなこというのはなあ、安田弁護士の救援活動で、弁護士界、ちゅうか法曹界
みとると、どうも、気になる。はっきりいうたらビビっとる。中坊、ある
いは「中坊=正義的」なものに。これまで、人権訴訟とか、えん罪事件みたいなもんに割と熱心に取り組んできた「良心的」な弁護士、ゆうのが妙に、「中坊黄門の会
社」を相手にするのに躊躇しとるんやな。

本質を見誤ってないか、諸君。

中坊の会社、の実際のクライアント、ちゅうのは「超法規的な権力」を彼を看板
にしておいて、その中身の会社にあたえた官僚であり国家権力、そのものなんや
で。また実際にやってることもそうなんや。あの中坊黄門を見つけてそのような
役割につけた官僚・政治家のチエ、ちゅうのはなかなかすごい。


弁護士ゆう商売は基本的には、クライアントの為に働くというのがシノギやし、
またそういう訓練を受けてきているから、それやったら「国家がクライアントに
なればええ」ちゅう発想や。これで従来の東大を中心とする「官僚法匪群」
と、対抗していた「在野の法曹界」も両方「連立」させてしまった。これと、先にス
タートした「ヤメ検」らの「民暴派」とあわせてみれば、これは法曹界における
「自・自・公連立」みたいなもんや。法曹大政翼賛会やな。「中坊黄門の法律職人会社」はその「さきがけ」や。


わしは、これまで、まあいろいろ欠陥はあっても、日本の法曹界ちゅうのはそれ
なりに機能してきた、とおもってるんだが、そのようなシステム、法廷でそれぞ
れのプロが時間かけて言い分をたたかわせてきたシステムが、「カネの回収」す
なわち利権の取り合いみたいなもののなかで音をたてて崩れていくような気がす
る。

すでに、「国家の強固な意志」なんか存在しない時代に、なお「強固な意志」と
して存在する唯一のパワーが「市場」であるが、住管というカネ回収機構と
いう奇怪な超法規システムのもとに法曹界が「連立」に再編されていく過程は
まさにその市場の力に「法曹」もまたのみこまれて崩壊していっとるのやないのか?


そう、いまや、「人権派」も「民暴派」といっしょに、黄門さまの両脇の助さん
格さん、になってもたら、ほんま現実はドラマを模倣する、マンガやでえ。中坊
自身は、まさに視聴率アップの黄門役である。国家権力という「印籠」を一時も
たされとるだけのピエロみたいな爺さんにビビってどないすんねん?テレビ番組の水戸黄門を馬鹿にしておっても、実はかっての70年安保世代とか68年世代のにもしっかり「黄門信仰土着思想」がしみついておるようやな。

 1月11日   宮崎 学

なお、これは安田弁護士を直接しっておる人から、組員にきたメールである

すくなくとも、この手紙を通して、人柄がつたわるとおもうので掲載しておく。



Hideo Yamada <consumer@osa.att.ne.jp> さんからのメッセージ

 ワシも長いこと、もう50数年になるけど、「人間」やってきたけど、安さん
みたいな超マジマジ弁護士が逮捕され、起訴までされ、ワシが差し入れするなん
てこと、妄想だにせんかったわ。これが反対なら、まあ、わからんぜもないけど
な。日本の司法官僚なにを考えていきとんのや!!?と聞いてみたいがな。公訴
提起の決裁権限者の検察官は、公証人になろうが、裁判官になろうが、名前だけ
の弁護士登録しょうが、死ぬまでこの人間の名前はインターネットでも、パソコ
ンのデータ記録にでもとどめとかなあかんとおもとるよ。まあ、いろんなとこと
の連携プレーやろうけどなーーーーーー。


 ワシ、たまに妄想してかどうかしらんけど、拘置所の所長になってる夢をよう
夢みるのよ。ほいで、死刑制度廃止をせんかったら、死刑を求刑した検察官、判
決だした裁判官、処刑の判ついた法務大臣ら全員でてきて、ワシの代わりに死刑
囚の処刑してくれ、そうせんかったら、刑務官も囚人も全員一丸となって、ス
ト・暴動を起し、拘置所を自治コミュンーにするなど要求して、所長のワシが先
頭になって戦かってる、夢なんよ。おもろい夢やろ?ホンマ後一〇年生きて働か
んでもいい経済状況なら、マジにやってみたい仕事なんよ。そのために法改正も
してもらわなあかんけど。ワシ、ほんまもんの善人も悪人もすき

やから、マジに
やってみたいのよ。後生善処のためにも、みなのためにも。
 英語勉強したいとのこと又聞きしたので、1、賢治の短編の英文版、2、キュ
ブラ・ロス女史の英文版 ”Death THE FINAL STAGE O
F GROTH ”(『死・成長の最終段階』)と3、英英辞典を、又、4、元
裁判官の佐々木哲蔵が亡くなる前に、贈呈したトルストイの『イワン・イリッチ
の死』(ロシアの元裁判官の死から始まる話、おもろいよ)と最近読んだ一番感
動した同じくトルストイの5、『人生論』(ほんまは生命論とやくさないかんの
とちゃうかな。この二冊の中身をほんまに生きられたら死が恐怖でなくなるよ
。)計五冊獄中で使って読んでみてくれんかな。


司法官僚の建前だけでのうて、ホンマモンの憲法と刑事訴訟法に、それもたんに
忠実に実行してただけやのにーーーーーーー、安さんの無念を思うとワシ涙が出
てこまるが、それと同時にこんなこといったらおこるかもしれんけどな、なんか
興味本位なとこあるのかどうかしらんけどな、反対の立場で、一回どうしても面
会にいきたいのよ。今ワシ、福岡におるのやけど、一月23日(土曜)の集まり
のついでにそちらに面会にいきたいので、「特別面会願い」を、迷惑なことやけ
どな、当局にだしといてくれんかな。土曜やから、誰にも迷惑かからんし、この
一年景気悪くて借金生活にはいってワシ首つらなあかん状態なんやけど、そんな
金も時間もない人間がわざわざ遠方からいくのやから、所長の裁量(『監獄法・
監獄法施行規則』)で認めてくれると思うよ。普通の情ある人間ならね。ワシこ
んなこというのはおこがましいけどな。弁護士に講釈たれてんのやからな。ホン
マめちゃくちゃな時代というかおもろい時代どうかしらんけど。ともかく安さん
の顔みたいがな。唯、髭生やした安田イエス・キリスト、イエスの誕生日に起訴
されてるしな、みたいな威厳のあるタイプの弁護士になってもらいたくないの
や。イエスの箱舟のオッチャンのような庶民的な、超庶民的でありながら法廷で
は絶大な威厳のある、かつ、我等が日本の、世界の安田弁護士になってもらいた
い。そんじゃそこらの阿呆曹三者では体験でけん体験している、否、体験するこ
とを、強いられているのやから。一皮二皮もむけて、健康になって帰ってきて
や。まあ、帰ってきてからの方が大変やろうがな。麻原弁護の持ち出し経費、事
務所維持経費etcあるもんな。
まあ、その点はともかく、
村さん、安さん、と、呼べ合えるような友情関係を夢想しながら。
ゼニも時間もできんかったら、御免やで。面会いけんから。普通の日は皆に迷惑
かかるしーーーーーーーな。


読者からのメール


宮崎学さま

平素の私心なきたたかいに心から敬意を表します。
宮崎さんのページで安田弁護士問題を知り、とても他人事と思えず、
考えはじめ、行動しはじめた者です。
<a href="http://www.linelabo.com/">読書録 http://www.linelabo.com/</a>に、
『なぜいま安田弁護士問題なのか?』を書きました。
ご検討いただければ幸いです。

1999.1.13 前田年昭 tmaeda@linelabo.com

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なぜいま安田弁護士問題なのか? 安田弁護士の人柄を称え支援表明をする人びとも
少なくない。が「内面の良心」は批評や運動の軸になりえぬ。第一、私は一面識もな
いが他人事とは思えないのだ。ピンクチラシを刷った咎で印刷業者が逮捕され、これ
を業界団体が「不祥事だ、もうしません」と声明し、労働組合も右にならえ、という
〈清潔なファシズム〉への翼賛化が許せない、これと本質は同じと思う。安田弁護士
への不当逮捕(強制執行妨害被疑事件)は、第1に国家権力による組対法(組織犯罪
対策法)=平成の治安維持法の先行実施であり、権力による弁護士活動抹殺だ。中坊
公平、黒田純吉と「住管機構」は、経済活動に国家権力が介入して行き詰まった後始
末と隠蔽のための国策会社である。国民の税金を隠匿!している権力をこそ告発すべ
きではないか。それができぬから「住管機構」は警視庁が逮捕してから後追い告発し
たのだ。第2に、経済活動や労働問題などへの民事不介入は労働者庶民の永きたたか
いの歴史によってかちとられてきた権利である。かつて激化する小作争議に対して国
家権力は一方で小作調停法を公布(1924年7月)、他方で小作人側の弁護士活動の抹
殺をはかった。同年11月、香川県の伏石争議では、日農組合員200人は地主の差押え
に抗して稲の刈り取りを行い、共同脱穀・管理したが、権力はこれを農民の窃盗とい
う刑事事件として弾圧、前川正一ら24人を起訴、日農顧問弁護士若林三郎は上京途中
の列車内で自殺をはかった。歴史の教訓に学ぼう。第3に、安田逮捕は権力による弁
護士道の否定であり、総翼賛化への突破口だ。ビッグバンを掲げて、オウムや暴力
団、サラ金被害者などの弁護活動はやめよという踏み絵を踏ませようとしている。弁
護士が依頼人の思想・信条、職業、門地や事件の内容によって弁護活動をできなくす
るならファシズムと同じではないか。「捜査機関との連携……刑事事件相当案件を探
し出すのも弁護士の仕事の一つ」と公言してはばからぬ黒田らは岡っ引根性に染まっ
た権力の走狗でしかなく、そこには誇りある弁護士の在野精神は微塵もない。【必読
URL】宮崎学<a href="http://www.zorro-me.com/miyazaki4/yasuda/komon.html">
「中坊『黄門』と法曹大政翼賛会」</a>、<a
href="http://www.siri.co.jp/usr/koyanagi/diary.html">社長日記(安田弁護士支
援モード)</a>で“無名氏(弁護士と思われる)による批判文書”として紹介されて
いる<a href="http://www.siri.co.jp/usr/koyanagi/kurohihan.html">「黒田純吉論
文『住専処理における弁護士の活動』自由と正義98年10月号の検討」</a>