巨人優勝の世紀末


 

 海の向こうではニューヨーク・ヤンキースがメッツを破って優勝した。

その2日後、日本では巨人がダイエーを破って両リーグ優勝を果たした。

やがて世紀末を象徴するできごととして人々の記憶に残るだろう。

                      

両者の優勝は偶然ではない。

ニューヨークヤンキースは、世界最高額のプレーヤーを集めたチームである。どことかの

アメリカの大リーグに一応属する球団はヤンキースの選手一人分の給料で全選手から監

督まで雇っておるちゅうこっちゃ。

昨年の広島の江藤とダイエーの工藤をひきぬいて優勝した巨人もまた似たようなもんや。

「組織力」と「ゼニ」が、この時代の勝利へのキーワードであることを世界に示したのだ。

 

プロ野球の楽しみというのはかってはこういうものではなかった。

70年代ぐらいまでは、技巧や知恵、度胸、精神力など異なったチームが競り合い、その

個性をいかした采配を振るう監督などがいて、「弱い」と言われたチームがひょっこり優勝

できたものだ。 だから毎日のゲームとその全過程、結果の意外性のがおもろかった。

名打者や名投手がキラ星のように輝いていた。その個性がファンを魅了した。山口瞳氏の

随筆なんかが冴えとったころやな。

今度、関西突破塾で江夏豊氏に来てもらうことになった。 カネのない阪神のエースとして、

技術と根性と度胸で勝負しとった人物である。あのころは今のような閉塞感はなかった。

麻雀好きやし、「暴力団との明るい関係」でワルクチ言われたんではわしとええ勝負やしな

あ。あはは。昔のプロ野球というのがいかに、今と違っていたか実にようわかるやろとおも

うで。もっとワクワクするようなもんであった。江夏選手というのはその代表であった。

なつかしい時代の男やさかいわしもあうのが楽しみや。いや、あっちがワシのファンやね

んで。あはは。

 

 が、80年代になってかってのワクワクする野球がなくなってきた。「チームの時代」にな

った。「管理野球」がもてはやされた。そして、やがて90年代、ゼニの時代に「進化」した。

時を同じくして、ますます息苦しい世になっていった。そして日本中に閉塞感のみち

みちておるこの2000年、その最強システムは完成したわけだ。 客のためのおもしろさ

より、自ら「銭力最強球団」の誕生を選んだのだ。勝ちさえしたら、あとはモンダイおこ

さんでくれたらゼニいくらでも出すちゅうような球団のもとでなんや幼稚きわまるスキャン

ダルが頻発してるのは、選手が幼児化しとるんや。

 

 しかし、ものごとは絶頂に見えるときはすでに崩壊過程が始まっている。

 

 たとえば田中康夫が知事になって小役人の局長に名刺折り曲げられてしもた長野県。  

あれは、「長野オリンピック推進株式会社」であった。今、新橋のJR跡地にどでかいビル

たてとる電通とか、JOC(日本オリンピック委員会)を牛耳ってる西武とか、開発、広告そ

うぐるみ、カネづけの五輪やった。その結果見事に長野県は荒廃してしもた。残債の山、

借金の海が残った。企業ならとっくに倒産であった。前社長だけしっかり巨額の退職金

もろてすたこらさっさと退職する、ちゅうとこもそっくりやろ。

 で、こないだの知事選ではそのような開発で儲かったはずの県内一の銀行の頭取が

「このままでは長野の未来はない」と田中担ぎ出しの主役になったことは記憶に新しい。

あれは不思議でもなんでもない。一番情報に通じとるからこのままやと、未来はない、

とわかりよったんや。わし、あの財界人とやらを褒めるやつの気がしれん。オリンピック

の時なにしとったんや?

 

 わしは博徒の家に育ったが、プロの博打打ちちゅうのは「いかに多く稼ぐか」ではなくて、

「いかに客を楽しませて勝つか」がウデであった。自分ばっかり勝って、客を裸にして

つぶしてしもたら自分のメシ食い上げになることぐらいは「高等教育」などなくても常識で

あった。

 ところが、博打やない、本来、客を楽しませるはずの「興業」まで「一人勝ち」を目指す

ために巨額のゼニをつぎ込んで当たり前、の世の中になった。いわんや、企業はおいて

も、公共組織、自治体、マスコミ、学校、病院なども大組織になればなるほど「一人勝ち」

「自分の生存が快適ならそれでよい」ということになった。「一人勝ち」の「ゼニと組織」に

なったおもしろくもない「興業」に、わしは未来はない、とおもうけどな。数年を経ずして証明

されるだろう。しかし、ここまできたら組織はそのまま暴走していくこともたしかや。

 

                        

先月の30日、東海村のJCOの1周忌、いや1周年によばれて行ったんやけど、あの原

子力発電所いうんは解体できない。安全な解体技術が存在しない。したがって動き続ける

しかない....けど、物事にはかならず終わりがあるし、いつかは解体せなあかんやろ。

そら、どっかそっと海にほかしてこい、ゆうたらゼニくれたらわしはやったるけどな。バレた

ら、世界中から袋だたきやろなあ。しやから、チェルノブイリ以後、スエーデンを皮切り

に、いまやドイツも、アジアではこないだ台湾も4つめの原発つくるんをやめた。理由は、

彼らが特別カシコイんとちゃう。解体方がないから作るより高くつく。それやったらコストが

あわないという計算からや。

日本は稼働中が都道府県の数以上、51か52か所はあるし、まだ作るつもりでおる。

 

 そういえば昔、京王プラザホテルがオープンしたころ、たまたま京都の宮大工の爺ちゃ

んと泊まったことある。ウチのトラックが南禅寺の山門壊したとかいうとき世話になっとっ

たようなエライ名人や。ほんでその爺ちゃんが京王プラザホテルみて「えらいもん作り

よったなあ」とため息ついてつぶやいたんや。ワシは「おっちゃん感動してるんかいな?」

とアホなこときいたら、意味が違った。爺ちゃんは「ボン、これどやってつぶしまんねん?

つぶすのに建てるより下手したらゼニかかりまっせ」ゆうた。コストあわへん、未来のことを

考えてない建築や、という意味やったんやな。 ちゃんとこの国にも賢い人物はおった。

 それから30年、いまやその京王プラザでさえ、「どこにあるねん」ちゅうぐらい低くて目

立たない、という現状とは別の話や。

 

                           

 

 つぶせないものはどうなるか?共産党の支配下のソ連を思い出したらわかる。

自懐してゆくしかない。そこに至る過程においては閉塞感だけが残り、つぶれたらその重

さで国民はフラフラになる。

日本でいうたら、原発がそやし、実は「盗聴法」で検挙件数を上げるとかいうとる腐敗ケーサ

ツもそや。まあ、その意味では、拓銀とか山一証券とかそごうとか倒産してくれただけまだマ

シなんや。それでもモノスゴイ金かかってる。原発やケーサツはそれどころやない負担にな

るだろう。

 

まあ、その意味であまり崩壊しても国民に影響なさそうなんは自民党ぐらいやで。

別にわしのような高度な眼力がのうても、誰がみても、はっきり自壊してるようにめ

えるのが今の、自民党・森内閣や。

けど、あれはいま崩壊させたらアカン。

あれらはほんまは、今の日本人に自信を与えるために存在するんや。

森や中川の言い訳のアホさ加減みとったら、日本のキレやすい中学生たちでも「あんな人たち

でも首相になれるし、内閣官房長官ぐらい、自分でもつとまるんや」ゆうことがわかるやろ?そし

たらがっこで勉強で、けへんかて、いくらでもニュースみとるだけで自信が湧いてくる。

しやさかい、あれは世紀末日本の閉塞感をチョーエツする唯一の我が国が生んだ一種の独特

の高度な教育プログラムや。他国ではとても真似でけへんで。

 大マスコミも、NHKを除いて「森辞めろ」ばっかりやけどみんなマチガイである。なんとしてもせ

めて来年の夏ぐらいまではもたせなあかん。よって、中道を行くわしとしては、佐高信氏あたりと

「森内閣を保存する会」ちゅうのつくろとおもっておる。 田中支援、川田支援のつぎは「森内閣保

存」や。いかにしたらタダしく保存できるか、みんな考えてくれ。

 巨人とプロ野球どうなる?って

 ほっといたらええ。客がどんどんほかのサッカーとかのスポーツに逃げていくだけやから、

日本代表が強くなる。そしてその結果、「大嫌いな日本に負けるな!」というわけでアジア全体の

レベルがあがる。ええやんけ。 巨人優勝で21世紀に明るいアジアスポーツの夜明けがくるだろう。

 

            ほんならまたな

                           2000年10月28日     宮崎 学