喜代美レポート  1999  NO7 発信99/05/04


判決はおそらく6月に 入って


  後の裁判の流れは、5月6日にバンコクの刑事裁判所にお
いて出入国管理の役人に対する訊問が残されています。その後は
5月10日チョンブリ裁判所にもう一度集められ、判決言い渡し
日がいつになるのかが明らかにされます。判決はおそらく6月に
入ってからになるでしょう。

私は今、公判記録の整理や足枷問題に関する若干のことなどを
していますが、裁判がほぼ終わりやっと余分な時間を持てるよう
なっています。田中さんに面会するときも初めて裁判に関係な
い話もゆっくり出来るようになりました。
田中さんがあとどのくらいタイにいるのかは分かりませんが、残
された時間のなかで、今まで話すことが出来なかったいろいろな
ことを田中さんと話したいと思います。

今まで何度刑務所に通ったのか、数え切れないほどです。
チョンブリ刑務所はバンコクから往復3、4時間かかります。
弁護士が時間をゆっくりとってくれなかったりで、いつも大切な
ことからはなしていくのですが、そのうちに時間はあっという間
に過ぎてしまうのでした。私自身のことも勿論話す時間などほと
んどありませんでした。

☆検察の主張は90%崩れた

  判決が無罪か有罪か分かりません。しかし私は田中さんの無罪を
強く信じています。通訳としてこの裁判を1年6ヶ月見てきて、
検察が出した証拠、証人のでたらめさをこの目で見、そしてこの
耳で聴いてきました。また田中さんの弁護側もそのでたらめな証拠
と証人の証言(特にシークッレトサービス)を崩す努力をし、事実
90パーセントは崩れてしまいました。


これは私だけでなく、法廷にいた殆どすべてのひとびとの共通の
認識だろうと思います。検察側でさえ、アメリカの提出した証拠
のでたらめさを口にする人が出る始末でした。
そのような状態で有罪にすることの方がむしろ難しいと思えます。
またここまでやって、それでも有罪になるのであればタイの憲法
や法律、法廷は無用の長物でしかないということになります。

私の予想どうりであれば、田中さんは無罪にになります。
ですから本当でしたら、今の私の気持はやるだけやったという爽快
感で満たされているはずなのにその反対に重く沈んできています。

今までは裁判のこと足枷のことなどで、必死にやってきたので、
なにも感じませんでしたが、山を乗り越えたら突然終わりが見え
て来て愕然としています。しかしその先にあるものは、無罪放免
ではなく、タイの刑務所よりはるかに孤独な長い刑務所生活が、
田中さんを待っています。それを思うととても嬉しい気持にはな
りません。

 ハイジャックをしたことは事実ですから逃れられないことだと言
うことは田中さんが一番わかっていることです。私は長いあいだ
JALの乗務員をしていましたから、ハイジャックをする人はも
のすごく悪い人、怖い人だと思っていました。しかしこの仕事を
やろうと決心したのは、夫の話を聞いていて児玉さんは何の証拠
もなく逮捕されひどいめにあい、犯人に仕立て上げられているの
ではないかと思いましたし、田中さんのことはよく分から
なかったのですが、児玉さんが何もしていなければ、田中さんも
偽ドル犯扱い出来ないのではという感じがしていました。


素晴らしい人たちに沢山出会い

 乗務員としての経験から、なおさらのことハイジャックの行為
を憎んでいました。これはいまも変わりません。
でも、児玉さんと田中さんが言葉の問題をはじめものすごく不利な
外国の地で、かけられた容疑が冤罪であるかもしれないとなれば、
はなしは別です。ハイジャッカーであっても、冤罪は許されない
のです。

そして通訳を引き受け一年6ヶ月、自分の目を通して全ての書類
証拠をみて田中さんは無罪になるべきであると思うようになった
のです。

私の知り合いの中には「ハイジャッカーを助ける力があるならも
っと他にすることがあるだろう」と言う人がいました。このよう
な意見を持つ人は多いと思います。面と向かって言われたことは
ありませんが、物好きか、変人扱いをする人もいるとおもいます。
ハイジャッカーとお近付きになっても普通なんの得もない、むし
ろマイナスのことだらけでしょう。しかし、正直なところ私の
なかではあんまり矛盾もためらいも初めからありませんでした。

周りから見て、何のプラスもないように見えていたかもしれま
せんが、実はいっぱい素晴らしい事がありました。
私はこの仕事をとうして、素晴らしい人たちに沢山出会いました。
日本人だけではありません。タイ人も何人もいます。
そのことは私の財産です。田中さんと児玉さんを好きで手伝った
のではありませんが、今となってはお二人は私の大切な友人です。
田中さんはハイジャックをしたけどいい人です。
恐ろしい人ではなく、いまは社会の為になる人だと思います。

「田中さんはいまでも左翼ですか」とある日本の若い女性が
率直に聞いたとき、「民族派」になったというご本人の答えが
傑作でした。「ぼくはねえ、左翼でもなく、右翼になったわけ
でもなく、そう、中翼(なかよく=仲良く)派でいきたいなあ」

刑務所に長いこと閉じ込めるのはもったいないです。


☆2人から元気をもらった私



  私はお二人を通して、いろんなことを勉強することができました。
世の中に対する見方が変わりました。

田中さんと児玉さんに一度でもお会いになった方はわたしの気持が
少しは分かってもらえると思います。お二人の為にいろいろがんば
って私が動いているように思われていますが、実はその反対で、
お二人の為に動くことで、私も元気をもらっていたと思います。

このところ、私のところにはいろいろな方から励ましの言葉やら、
応援のメッセージが送られてきています。
メッセージを送って頂いた方々を含め皆さんにお礼申し上げます。
そして、宮崎さんを始めキツネ目の方々、特に田中さん、児玉さん
にお礼をいいたいです。

これから足枷の問題で憲法裁判所の審議も残されています。まだ
全てが終わった訳ではありません。田中さんのこれからのことを
思うと気持が重くなっていく私ですが、今一つ頑張ります。

そして田中さんには希望を持ってもらい、一日も早く日本での
刑を終えて出てきてもらいたいです。児玉さんと約束したカンボ
ジアでの恵まれない子供のための学校やいろいろな計画を実行す
るまでは、絶対元気で頑張ってもらいたいと心から思っています。
そんな願いを込めて、田中さんを応援するため私も出来ることを
していきたいと考えています。

☆タイのマスコミの注目が集まる

  このごろになってタイのマスコミがやっと注目してくれるようにな
りました。英字紙の NATION に始まり、タイではメジャ
ーなカオソット紙(ホットニュースの意味)が三日連続でとり
あげてくれました。(その記事の翻訳を近い内にこのホーム
ページで載せることにします)
その影響もあり、テレビでもch7やITVが一日2回以上、
2日間ニュースでながしてくれました。このことは、刑務所の中
でも話題になっています。
田中さんのいるチョンブリ刑務所だけではなく、バンコクの刑
務所でも児玉さんのところに、10何人もの人がやってきて
「あなたと友人のこと(田中さん)が新聞に出ていた。
テレビでもやっていた。いつも面会に来てくれるあの女性が
タイ語でしゃべっていた。だんだん本当のことがタイでもひろ
がってきているようで嬉しい」と一緒に喜こんでくれるそうです。
児玉さんも、足枷のこと、田中さんのでっち上げ事件のことが
話題になったというだけで意味があるといって喜んでくれました。

ですから、児玉さんはそんなこともありますます元気です。
今回日本から裁判傍聴のために来られた方々も、田中さんだけでな
く児玉さんの面会もしてくださっています。皆さんの気持が確実に
児玉さんに伝わっているのがよくわかります。

田中さん児玉さんにメッセージのある方は私にメールして下さい。
必ずきちんとお伝えします。田中さんの面会は毎週水曜日、児玉さ
んの面会は毎週金曜日です。



宇崎 喜代美さんへのメールは
Kiyomi &Makoto Uzaki <pochicom@ksc.th.com>だわん


タイ偽ドル 田中・児玉両氏フレームアップ事件全目録