山際永三氏のレポート改訂版発行に際して
宮崎 学
タイにおける田中義三被告の判決が6月23日にでることになった。あと40日あまりである。
ここで、ふたつのことに注意を喚起しておきたい。
一つ目は、まだ安心できない、ということである。これまでも何度か書いてきたがアウトローというのは最悪の事態を想定してモノゴトを考えるのだが、現在、考えられる最悪の事態、とはすなわち、田中義三がチョンブリの獄中で「心臓麻痺」かなんかになって昇天させられることである。
まさか、という人も多いだろうが、冷静に考えてみるとその可能性は否定できないことがわかるだろう。アメリカは、もしこの裁判で自分たちの陋劣な陰謀がバレることを好むはずがない。実際、2年前、田中暗殺計画、というのはあったのだが、裁判に注目があつまってしまったため取りやめになった、という情報を私はタイの裏社会から得ている。現在、状況は以前に比べれば遙かに田中被告に有利に展開している。それだけに、アメリカ側がこの先、一月余りの間に「起死回生」の手段として再び、そのような策を考えて実行に移さないという保証はないのだ。実際、宇崎夫妻が本格的に田中裁判を調べ始めたころ、自宅マンションに泥棒が入り、多額の現金を盗まれたこともあったのがおもいだされる。
二つ目は、日本の大マスコミが今度はどのような報道をするのか、ということである。日本の大マスコミは、これまで一度たりとも田中義三の裁判における現状を報告できなかった。
それは、1996年、田中被告がカンボジア国境で逮捕された当時、例によって例のごとき大本営発表鵜呑みの集中豪雨報道に明け暮れた日本の新聞、テレビは、同氏を「北朝鮮の工作員」「偽ドル犯人」と決めつけてしまったために、今更、過去の報道の誤りを認めるわけにゆかず、ゲンジツとの整合性がなくなってしまったからなのだ。
しかし、判決がでる、となるとまさかこれまでどおり、知らん顔はできない。しかし、今度は、「大本営」は存在しない。裁判で負けるということはまさにその「大本営」がうそっぱちだ、ということだからな。現に、日本のマスコミより残念ながら遙かに健全であることを報道によって示した韓国雑誌の記者の取材に対し、かっての「大本営」であるアメリカSSは完全に逃げ腰、沈黙を守っている。
相変わらず、ろくな勉強もせずに、またしても大本営発表で切り抜けようというところは、さぞ苦労するだろう。こんどもまたええかげんな報道するなら、わしらは戦う。
とはいえ、日本の大マスコミは機構としては腐っているが、そこに働く人間が全部、高世仁のような腐った男たちではない。判決が出る機会を待って、今度は正しい報道をすべく準備している記者がいるのも知っている。
最近、わしのところにも、この問題で取材依頼がよくくる。
忙しいのだが、できるだけ応じることにしている。ただ、これからくる人は、最低、この山際さんのレポートと、韓国の李 哲(金玄)(イ・チョルヒョン)記者の記事は読んできてほしい。それが私からの「突破者の条件」である。
99/5/12 宮崎 学
タイ偽ドル 田中・児玉両氏フレームアップ事件全目録
