問題だらけの讀賣記事 2

    「人権と報道」事務局長  山際永三さんに聞く



 滝北岳記者の記事はひとことでいうと「ひどいもんだ」ですね。
最初の段落に、いきなり「無罪が確定した場合」とでてくるが、なぜ無罪になるのか、無罪判決が予想されるのか全く書かれていない欠陥記事です。

 最後の段落で、「当初、田中被告の関与を証言した人物が証言を覆している」と書かれている。これが「無罪判決が予想される」唯一の根拠らしきものになっている。

これは児玉さんのことらしいが、4段落目の「カンボジアで一緒に貿易業を営んでいた人物」とは同じ人だわからないように書いてある。

 九六年当時、讀賣は「児玉」とカッコつきで身元不明のあやしげな人物として報道しています。その責任を棚上げして、このような「匿名扱い」ではかえって、報道被害を拡大します。

 児玉さんが再審を請求していること、田中さんが無罪なら当然、児玉さんも無罪になる可能性が強いということをなぜ書かないのですか。

 左側の解説記事も、96年の報道に関しての訂正、ないし反省がまったくありません。「よど号」メンバーがなぜ国際的な犯罪を押しつけられ、犯人にさせられるようになったのか、という観点がまったくありません。これは記事本文で「無罪判決」を予想しているにもかかわらず、その理由を書かない姿勢とあわせて、まことにお粗末なものといわなければならない。

 この「解説」で一番下の、宮崎さんも指摘していますが、「カンボジア当局に身柄を拘束された、その後はタイ警察から偽米ドル札事件で国際手配をうけていたためタイ当局に身柄を拘束された」というのは、事実関係を誤解しています。

 田中さんは、カンボジア当局に身柄を拘束されたのではない。アメリカ財務省シークレットサービスの偽ドル捜査官に身柄拘束され、その後、カンボジア警察がそれに「協力」した、という形になっています。

 また田中さんは、ニセドル事件で国際手配などされていません。96年2月10日にアメリカSSに身柄を発見、拘束されてその後、タイ警察に引き渡されて、タイ警察が逮捕状を「執行」したのです。だから、ニセドルでの国際手配などどこにもなかった。記事はウソです。

 さらに、記事の3段落目「判決が無罪か、有罪でも未決拘置期間(約3年3ヶ月)以内で、検察、弁護側双方が控訴しなかった場合には偽ドル事件の法的手続きが終了する」というのは日本語として意味がめちゃめちゃです。
タイでの控訴期間は一ヶ月で、これは未決拘置期間とは何の関係もありません。これは日本でも同じで日本では控訴期間が一四日、という違いがあるだけです。

 この記者にはタイで会ったような気がするがあまりにひどい記事ですね。訂正を申し入れたほうがいいでしょう。