この4月l日から医療保険制度が変更になった。サラリーマンが加入している社会保険の場合、自己負担分が従来の2割から3割にアップすることになる。例えば、カゼで病院に行ってlOOO円払っていたとすれば、これからは1500円になるわけだ。
医療費のかかる高齢者層には大打撃を受ける者も少なくはない。貧乏人は医者にかかることもできないのか、と憤りも出るだろうが、まあ、それは事実であろう。
これに関して、いまさら何を言ってもしかたがない。冷たいようだが、すべてはあんた方、国民が選んだ政府が決めたことやろ。小泉はハナっから言っていただろう、「国民には痛みを我慢してもらう」と。それを実行しているだけの話や。「痛み」はいわば公約。小泉ほど有言実行の政治家はなかなかおらんで(笑)。

導入の理由として、政府は「このままでは医療保険制度が破綻する」と言っているが、これに関しては疑問の声も多い。国の試算には昨年4月からすでに導入されている診療報酬の引き下げによる支出の減少や、社会保検料の総報酬制による収入増が織り込まれていないのだ。これらを含めれば、単年度収支では逆に黒字になるというシミュレーションさえあるらしい。
とはいえ、現状の医療制度を継続していれば、遅かれ早かれ破綻は避けられない状況になることは確実。何らかの変化を強いられるのはしかたのない時期ではあったがな。この4月からは年金は引き下げられたし、5月からは失簑業保険の給付も切り下げられる。構造改革が成果
を上げるほど、痛みも大きくなるという仕組みはまだまだ続くで。
言っておくが、俺には小泉を批判する資格がある。阿しろ小泉内閣誕生の当日、俺は議事堂前で小泉倒閣の演説を行った。そもそもヤツは悪名高き森内閣を支えてきた森派の会長。それがいきなり国民のためになることなどするはずがない。だまされた、と怒ってもあとの祭りや。だましだまされ、はアウトローの日常だが、彼らにとって「だまされた」と「怖かった」はいわば禁句。「だましやがったな、バカヤロー!」と怒りをあらわにするようなことを彼らはよしとしない。黙ってだました相手を抹殺するのみだ。
ならば小泉を抹殺せよと読者をあおるつもりはないが、泣き寝入りばかりでは腹の虫も収まらん。何かアクションを起こす必要はあるだろう。
例えば、年金制度。明らかに破綻しているにもかかわらず、これから先も同額の保険料を徴収されるのはどう考えても納得できん。いっそのこと、国を相手に支払い拒否の裁判を起こしてはどうか。そんな選択肢があってもおかし
くはない。俺は最初からこの国など当てにしとらん。当然、年金も払わん。国民がそれくらいの行動に出ても決しておかしくはないやろ。仮に払っていれば間違いなく暴動を起こしとるがな。

しかしまあ、今回の措置を巡って、国民が本気で小泉内閣に反旗をひるがえす可能性は万に一つもないだろう。小泉も、多少ムチャしても国民が抵抗することはない、と踏んどるから断行したはず。実質的には負担額増以上に、政治が大した抵抗もなく好き放題暴走していることのほうがより重大な問題である。
何しろ医療保険に手をつけることなど、本来、政治家が最も躊躇する部分であった。増額を強いれば国民の反感を買うのは確実。その反動は選挙に表れてしまう。
ところが今回に隈っては、野党や医師会などの反対はあったものの、最終的にはほぼすんなり通
過している。これは逆に、小泉はそれほどまで国民を舐めきっている、との表れとも取れる。
医師会の反対をおおまかに考えれば、3割負担で病院にかかる者は減り、実入りが少なくなる、といったものだ。これこそ正論ではないか。しょせん政治は自分にとって損になるか得になるかで考えるぺきもの、というのが俺の持論である。彼らの反対姿勢こそ、正しい姿やで。

ところで、今回の負担増はアウトローにも無関係な話ではない。フロント企業の社員という形になっていれば、サラリーマン同様、社会保険に加入することになるからだ。しかも、連中は仕事柄、病院のお世話になることが多い。例えば入れ墨。針の消毒が徹底していないためなのか、C型肝炎にかかる者も少なくないと聞く。入れ墨自体、汗腺を破壊するため、健康上、かなりのダメージを受けてしまうという面
もある。
また、クスリに手を出した者なんぞは、やはり肝臓をやられたり、糖尿病にかかる可能性も高くなる。長期の懲役も体にいいはずがなかろう。しかし、彼らの中に文句を言う者はいない。もともと小泉を支持していたわけでもないから、熱狂に踊らされたアホもおらんしな。彼らは国から何かをだまし取ることは考えても、国の助けを受けようという発想はまったくない。そもそも自分に文句を言う資格などないということもよく知っている。これぞ本当の意味での自己責任や。
1割増えたからといってその程度の金でガタガタ言うのは恥ずかしい、というのが彼らの衿持であることも理由ではあるだろう。いわゆるモグリのものも含めて、アウトロー御用達の病院というのを俺はいくつか知っている。都内の某外科では麻酔を使って無痛の指詰めをする、という話もあった(これがケジメになるかどうかは疑問だが)。もちろん、彼らとて大半は一般
市民と同じ病院に通うのが現状だ。
だが、組長クラスの入院ともなれば、大学病院の特別室は当たり前。院内の廊下の要所要所には若い衆が立って警護に当たり、不利益な情報が外に漏れるのを防ぐため、あらかじめ看護師や医師に心付けをする。とある組長はフロアの看護師全員にl〇〇万円、担当医師にはlOOO万円を配ったという噂もある。極端な例ではあるが、知り合いの富裕層の者などは、世一界最高峰の医師に診てもらうためにわざわざチャーター便で海外(アメリカが多い)に向かうという。
通院もままならなくなる者。も出る一方で、富める者だけ一が恩恵を享受し続ける。二極一化はアウトローも一般
市民も同じじなのだ。一握りの大金持ちとその他大勢の貧乏庶民ーだが、それは世界の標準的な姿でもある。今回の医療保険改革はそこに向かう第一歩にすぎないのだ。