イラク戦争が最悪の方向に向かいつつある。半ば第二のベトナム状態だ。一部メディアはすでにフセイン後のイラク統治の予想まで始めているが、そんなもんは何の役にも立たん。
日本が今、イラク以上に考えるべきは、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)。この国を巡るアメリカ、日本の関係である。
俺は先日、国内のある有力メディア筋から、ある情報をつかんだ。アメリカはイラクに仕掛けたものとまったく同じ作戦を、北朝鮮と金正日に対しても計画しており、実際に具体的な動きが始まったらしい、というのだ。
その想定オペレーションは こうだ。まず第一歩として、かつて金正日に次ぐN02と言われ、1997年に韓国に亡命した黄長(火華)元書記をいったん、アメリカに亡命させる。次にフセインを狙ったときと同様に金正日を排除する。そのあとでアメリカから黄元書記を北朝鮮に送り込み、国内をまとめさせ、最終的には北朝鮮と韓国を統一させる、というものらしい。かって韓国の初代李承晩政権を樹立するときにやった実証済みの手やな。すでに黄元書記のアメリカ亡命の準備は整ったとの説もある。

イラク情勢が想像以上に難航している現在、新たな敵を作り出し、そこに対して今度こそスカッと完勝する上気回復をもくろむブッシュがいかにも考えそうな話ではないか。北朝鮮は格好のターゲットなのである。むろん、これはプッシュにとってもアメリカにとっても非常に危険な選択となる。
しかし、過去に当欄で言ってきたようにブッシュの行動原理はヤクザとまったく同じ。博打で負けたヤクザは損を取り返すため、さらにリスクの高い博打に挑む。ブッシュには、それしか生きる道がない。そこまで追い込まれているといってもいいだろう。だが、アメリカの思惑はまたも失敗に終わる、と俺は見る。まず、金正日をしとめることはできまい。イラク攻撃を見ても明らかだが、どれほど膨大な情報を集め、ピンポイントの攻撃をしたとしても、フセインをしとめてはいない。追う側よりも逃げる側が有利、の理屈である。
百歩譲って金正日を排除できたとしよう。しかし黄元書記が北朝鮮国民に歓迎されて、アメリカが意図する国家の形を作ることがはたして可能か。北朝鮮国内では黄元書記を裏切り者、逃亡者と見る風潮が根強い。ハナから結論は見えている。
ところが、物事を白か黒の二分法でしか見られないアメリカ、特にブッシュ、ラムズフェルドらネオコン政治家にはそれが理解できない。金正日は悪だから、北朝鮮国民は心底では彼を嫌っている。だから、対照的な存在の黄は支持される、というお粗末な思アメリカは最強の武力を背景に世界の秩序体系を支配する、との見方が有力視された時期もあった。
だが、その可能性はイラク攻撃で完全についえた。これを機に世界中に広がった反米意識は相当なものである。もはやベトナム戦争時以上といってもいい。さらに欧州との関係修復は不可能であるし、中東やアジアからも総スカン状態。今や、アメリカと手を組むことは自国の政治的地位
すら失いかねない、というのが世界の認識なのだ。

いまだにアメリカに追従しているのは、 小泉だけである(笑)。国益を考える気があるなら北朝鮮攻撃には乗るべきではない。歴史的に見ても、社会主義国が他国の軍事力によって崩壊したという例は1つもない。ソ連、東ドイツ、ルーマニア・・・いずれも内部崩壊したではないか。
北朝鮮を本気で崩壊させたいなら、戦争などゼニのムダである。韓国の 太陽政策方式が、最も確実な手なのだ。
そもそも北朝鮮が日本に対して威圧的な態度をとるのは、日本がアメリカの圧倒的な軍事力の庇護下にあるということが最大理由である。歴史の怨恨どころか、単にアメリカヘの脅威にすぎない。
今回のイラク攻撃を日本が支持した背景に、北朝鮮問題があったのは明らかだ。アメリカ支持を表明しなければ、北朝鮮の攻撃から守ってもらえない、だから支持すべきだ。表面的にはアメリカを批判しながらも、国民の大半はそう考えているに違いない。
しかし、この理論には明らかに誤解がある。なぜなら、日米安保条約がある以上、アメリカは日本が他国からの攻撃を受けた場合、日本を守る義務が生まれる。この事実は、日本がイラク攻撃を支持しなかったとしても変わることはない。不支持を理由に日本を守らなければ、条約違反になるのだ。
仮にそうした事態が起こったとすれば、それこそアメリカの呪縛を解く好機となる。堂々と条約破棄すればいいだけの話や。そんなことになれば、だれが日本を守ってくれるのか、との意見もあるだろう。だが心配は無用だ。
北朝鮮が威嚇するのは日本がアメリカの同盟国ゆえである。その関係が解消されれば日本攻撃に意味はなくなる。逆に軟化した態度を見せるかもしれん。安保条約が消滅すれば、すべてが解決する、という見方は決して外れてはいない。
いまさら言ってもしかたない話だが、やはり日本はイラク攻撃に反対すべきだった。そうなれば戦争を回避する可能性さえゼロではなかった。もちろん、何の不利益も被らなかった。世界の称賛さえ受けていた、と俺は考える。

仮に北朝鮮攻撃の話が実行に移されるのなら、これぞ第二のチャンス。堂々と反対を表明すべきである。
ただ、懸念すべきは、アメリカの戦争理由である。イラク国民の解放を標榜した今阿の戦争も、背景には石油利権の存在がまことしやかにささやかれていた。
しかし、実態は、もはや石油どころの話ではないのではないか。アメリカにおける軍需産業 はあまりにも巨大になりすぎた。相当数の国民がこれに関連する職業に就いているという、いわば基幹産業としての現実を生んでしまった。つまり、何年かのサイクルで戦争に直面
して武器を消費しなくては、この産業を継続させ、従業員を食わせていくことができなくなっている。
こうなれば、大義名分も何もない、アメリカという国自体、コロンブスによる発見以降、移民が原住民を殺すことで成立してきたバーバリアン的な国家である。自分たちの生活は他者を殺すことでしか成り立たない。そんなトラウマの現れといえば、それまでかもしれんがな。