「個人情報保護」は「警察からの保護」だ
メモリ・コンフィデンシャルれぽーと
|
昨日の国会前座り込み後の学習会でフリージャーナリストの寺澤有さんが「一番情報を持っているのは国家、それも警察で、その情報がだだもれになっているのは彼らが売り歩くから。こんなこと常識ですよ」と発言してました。実際そうです。ただし、大マスコミには決してでません。彼らはフリーのライターが入れない、警察記者クラブで発表したことし書かないし、たとえ書きたくとも書けない組織です。したがって一般の国民はゼッタイに知らない、ということになります。私は自分の取材範囲で知ったことを報告しましょう。 まさに本気で個人情報の保護、を考えるなら、警察からの情報漏洩というのは見落とすことができない、と知っておいて損はないでしょう。 2001・4・28 目森一喜 ------------------------------- 企業への警察の圧力で情報誌がなくなった後、企業向けに「企業舎弟リスト」が売 り込まれるようになった。企業総務は情報が欲しいのだが、警察の圧力で情報誌の購 読が出来なくなったためだ。 その「企業舎弟リスト」を企業に売り込んでいるのは、もっぱら退職警官である。 警察はヤクザのリストを作成している。ヤクザの事務所所在地が掲載されている 他、実に細かく、どの店の経営者が何組の誰であるとリストアップされている。 これを退職警官が企業に売っているのである。ただし、古いリストもかなり出回っ ている。粗悪品である。 だが、企業にそのリストの質を確かめる手だてはない。元々 情報がないから買うのだから当然の事だ。退職警官たちはアコギな商売をしている事 になる。 もちろん、警察自体がヤクザ事務所の移転状況などを把握しきれていない面もあ る。 警察がヤクザ抗争を煽るために対立組織のリストをヤクザに提供する時がある。そ のリストが間違っていれば、堅気のマンションのドアに銃弾が撃ち込まれる結果とな る。 警察にすれば、それでも構わない。「暴力団は悪い」という事ですむからだ。 もち ろん、ヤクザ側は警察からもらったリストが間違っていたとは言えない。笑い者にな るのがオチだからだ。 情報誌が消えていくのと同時に、総会屋が激減して行く。そのために警察は総会屋 と関係した企業から逮捕者を出し、徹底的に恫喝をかけた。そうして、総会屋に変 わって警察官が天下った事はよく知られている。総会屋叩きは天下り先の確保だった のである。そうした警察官が東芝クレーマー事件を起こして行く。 総会屋が活動を封じ込められた後、株主総会がどうなったかと言えば、社員株主を 使った強引な議事進行が横行しはじめる。 社員株主が前列の席を独占し、他を圧倒する大声で「異議なし!」を叫び続けるの である。こうしてシャンシャン総会が終わる。 総会屋が社員株主に変わっただけで、株主総会の体質はまったく変わらなかった。 日本企業は株の配当を徹底して抑えて内部留保をしている。しかも、株を系列で持 ち合って外に出さないようにしている。 この型を崩さないために、様々な行為が行われてきた。 株式市場である企業の株を買い占めれば、その企業を自分のものにする事が出来 る。敵対的買収などという用語もある。だが、日本ではそうした事はありえなかっ た。 株の買い占めをしたとしても、せいぜいが市場よりも少しだけ高く買ってもらえる だけだった。 企業には、そうした場合の交渉をする代理人がいたのである。 この代理人は様々なつながりを持っている人物である。ヤクザ、右翼、フィクサー などとも関係している。 株の買い占めをする人間もまた、背後関係を持っているたぐいの人物である。交渉 はプロ同士が妥協点、つまり、買い戻しの金額を決める場となった。 これは総会屋というレベルではない人物たちが絡んでいる。 ヒントだけ言えば、許永中の相手側にも相当な人物たちがいたという事だ。 系列が維持された背後には、こうした相当な無理な活動があった。 こうした企業は余計な手間をかけ、金を使って、系列という無意味なものを維持し たという事になる。 これは法整備もロクに行われていない国の話ではない。日本の話だ。法整備もされ ており、監督官庁もいての事だ。 監督官庁がこうした動きを知らなかったとすれば、無能のそしりを免れないだろ う。そんな官庁や、そこにいる小役人は必要のない存在という事になる。 もちろん、知らないわけはない。ならば黙認していたという事になる。これを黙認 するようならそうした官庁や、そこにいる小役人は必要ない存在である。 いや、もっと進んで、内々にこうした行為を奨励していた可能性もある。それなら ばそんな官庁や、そこにいる小役人は必要がないという事になる。 だが、そうした筋は通らず、逆に官僚は元々強かった力をさらなるものとしつつあ る。 全国500万官僚群は長い時間をかけて国を乗っ取ってきた。政治家はその奴卑になりさがって久しい。 いまとなっては、官僚機構 の自己保身ネットを打破すのはそう容易な事ではない。 彼らは国民がバカなのを幸い、長い時間をかけて法整備に努力して来た。その結果、驚くほどの権限を持つに 至っている。表に裏に、三権の中で最も強力なのが行政となってしまった。 立法で言えば、自民党が政権亡者なのは、官僚がそれでいい状態にしているから だ。実質を握っているのは官僚である。 司法も法務官僚たちの意のままになっている。裁判官は、検察の顔色をうかがって いるのが現状なのだ。 個人情報保護法は、そういう時に最強の官庁、総務省から出てきた法案である。 これによって政治家たち は、自分たちの醜聞が報道されなくなる、守ってもらえると考えるかもしれないが、 現実はそう簡単ではない。 情報を抑えられるならば、出す事も出来るのである。官僚の意に添わない政治家 は、リークされた情報が報道される事で、あっさりと政治生命を抹殺される。 自民党と公明党の野合に反対した白川勝彦は、交通違反に絡んだ問題をリークされ た。 白川に森元首相のような下半身スキャンダルがあったら、遠慮なくそれがリーク されていただろう。 あの程度の事は、自民党に限らず、どの議員でもやっている事だ し、マスコミの人間でその世話になった者もずいぶんいるはずだ。それでも、あのよ うな形で報道が行われれば、見せしめリンチにあったも同然の結果となる(白川勝彦 は自民党議員のくせに、あれしかスキャンダルがないのも問題だ。もっとエゲツなく ないと面白味に欠ける)。 評判の悪い外務大臣が、シュワルツネッガーのサインを自宅に持ち帰っていたことが「偶然」マスコミにリークされたこともあった。大臣があまりにバカだったので、みな情報のリークそのものは見逃してしまったが、あのケースは官僚がその気になれば大臣をクビにすることなどさして難しくない、という例だった。 個人情報保護法は官僚による情報統制に結びつく、それによって政治家たちはますます官僚 の奴隷となるよりない。 個人情報保護法は、政治家にとっても自らの首を絞めるものだ。 だが、さらに問題なのは、この法律もまた、次の段階への布石にすぎないという事 だ。暴対法は盗聴法に至った。そして個人情報保護法である。網の目はどんどん細か くなり、網自体はどんどん広がっていく。 ところで、ポスト総会屋時代の、社員株主が「異議なし!」を連呼する総会の図 は、個人情報保護法の風景と似ていないだろうか。 企業を権力とすれば、社員株主はマスコミである。一般株主を庶民とすれば、フ リーライターは総会屋となる。 今まで駅で買って読んでいた雑誌が、突然、禁書になる。
★好評の目盛一喜の告発シリーズ 暴対法と個人情報保護法の桶屋が儲かる なぜ今、「個人情報保護法案」なのか
個人情報保護法案のねらうもの 捜査能力の低下と警察内部の矛盾 2
|