「個人情報保護法」拒否共同アピール参加レポート

日本出版クラブ(神楽坂)

 

 パネラーが20人以上いて全員が発言していまして、とても全て紹介できません。面 白いこといっているなと思った人だけ文字に起こしています。宮崎さん以外の発言者のほとん どの内容を省略しています。が、肝心なところだけは抜き出していますので。

m(--)m ライナス拝

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●吉岡忍氏(ノンフィクション作家)

「個人情報保護法」拒否 共同アピール 「個人情報保護法」(案)はいかがわしい。

だれが、またどこが、最も多くの個人情報を所有しているか。言うまでもなく政府、 自治体、警察、司法機関だろう。これら公権力が持つ個人情報を、当の個人が確かめ、 間違いがあれば修正させ、自己管理にする権利こそ、市民社会における個人情報保護 の 原則である。

 しかし、法案は最初から、これら公権力を規制対象外としている(第2条3)。

こ のことは、法案が個人情報保護法の名前にも値しない中身であることを示している。

「個人情報保護法」(案)は、油断ならない。 では、法案は何を保護しようとしているのか。

法案は個人情報を不正に扱う危険性の ある業者にメディア一般を加え(総則および基本原則の適用)、取材の意図・範囲・ 方法に制限を加えたり(第4,5,6条)、取材対象者が取材・調査・報道の内容に 干渉できる道を開いている(第8条)。

ここで守られる個人はだれよりも、汚職や職 務怠慢やスキャンダルの発覚を恐れる政財官界のダーティーな面々である。

 日本を停滞と腐敗に引きずり込んでいく連中を保護する法案は、本音を見れば、取材制限法、醜聞腐敗報道制限法にしかなっていない。 「個人情報保護法案」(案)は、たちが悪い。

 法案は放送機関、新聞社、通信社、その他の報道機関を個人情報取扱業者に一括し、 規制の対象とする(総則、基本原則)一方で、罰則に関しては適用除外にする、と言う (第65条)。

 だが、適用除外は機関についてであって、 条文を厳密に解釈すれば、記者個人、ディレクター個人、カメラマン個人、編集者個人等は除外されない。

 これでは上司の承諾なしの予備調査、機関がオーソライズしていない自由な取材はできないことになる。

 法案は、罰則の適用除外とされるテレビ局、新聞社、通信社をも、管理と統制の空 間 に変えようと目論んでいる。

「個人情報保護法」(案)は、危ない。

法案がもっとも規制処罰したがっているのは出版社系雑誌らしい。雑誌は罰則の適用 除外とはされず、主務大臣の管理下に置かれ(第41条)、取材の際は取材対象者の 同意が必要とされ(第21、23条)、取材内容のすべてを当人に明らかにすること を迫られ(第29、30条など)、その当人の同意なしには報道できないとされる (第28条)。

 そして、これらに違反すれば、六ヶ月以下の懲役か三十万円以下の罰金刑だという (第61条)。

 ここまでくれば法制化推進者たちの底意が透けて見える。金権スキャンダル、密室 政治の内幕、政財官のダーティーな面々の素行を暴き、批判してきた編集者、取材記 者、カメラマン、ライター、作家、学者、批評家の言論・表現を封じ込めることであ る。  

 自由な言論、自在な表現を規制し、民主主義を殺す法案は廃棄されなければならな い。

「個人情報保護法」(案)は、出直せ。

 私たちは、国際化・市場経済化・情報多様化が進行する現代の日本と世界が、個人 に関する情報をきちんと保護するシステムを必要としていると考える。しかし、なに よりもそれは、個人が自己に関する情報を自己管理する権利として確立されなければ ならない。

 そのためにはまず、個人が公権力の所有する膨大な自己情報にアクセスし、その正確性に関与できる方途が開かれる必要がある。

その公正で具体的なモデル的事業の経 験を積み重ねることによってこそ、民間事業者による個人情報の取り扱いに関する規 範は生まれるであろう。

私たちはいま国会に上程されようとしている「個人情報保護法」(案)を拒否する。 私たちは当局者らがこの法案を廃棄し、個人の権利と言論・表現の自由を最大限保障 する法案に作り変えるよう要求する。 私たちは多くのメディア関係者、市民がこの「共同アピール」に賛同されるよう訴え る。

●小板橋二郎(ジャーナリスト)

一昔前日本には米穀通帳(お米の配給の記録をする)というものがあった。この通帳 がなければ配給お米を買うことができなかった。配給米以外は全部ヤミ米ということ で、そんなもの売買するとパクられる一種の統制法があった。

今度の法案を見ると完 全に情報の統制法になっている。米穀通帳で配給米を手に入れる米穀販売所は記者ク ラブである。政府が公認した各省庁にある記者クラブに出入りしている人たちが ジャーナリストである。

この人たちが自由に取材しなさい、それ以外はいけませんよ と。政府によって公に認められたジャーナリズムは恥ではないか。少しは抵抗してい ただきたい。個人情報保護法案についてはフリーの我々も反対の記事を書いている が、フリーが扱うには非常にハードで、これは日々のニュースマターの問題だ。

記者 クラブに出入りしている新聞、テレビの一面の担当者が書かなければ、我々の声はほ とんどかすれてしまう。これを書かないジャーナリストは本当のジャーナリストなの か改めてこの席から問いかけたい。

●日名子暁氏(ルポライター)

わたしは個人情報保護法がない以前にパクられたライターの一人でして、こんな法案 作らなくてもわたしは名誉毀損とわいせつ両方で無条件にやられたわけで、これはい かがわしい人間であって、いかがわしいこと書いている人が、いかがわしい出版社で それをやったわけですから(当局は)パクったわけで、あらためてこんなもの作らな くても。暴対法と同じで個人情報保護法作らなくても、刑法やその他の法律に則して 取り締まればいいわけですよ。60を超えて(刑務所)入るのはしんどいですね。 フィリピンにげます。

●佐野眞一氏(ノンフィクション作家)

ここに集まってらっしゃる方は意識の高い方ですから、ある程度は分かってると思うんですが、しかしなんとなく釈然としない、つまり個人情報保護法というのはなんだ ?と、よく分からないのが実情だと思います。それはひとえに新聞が腰の引けた報道 しかできていないからだ。

 小板橋さんは「すこしは怒れよ」と言っていたが、すこし 激しい言葉を使わせてもらうと「お前らはとうとう、情報奴隷に成り下がったよ」 と。

 日本ペンクラブが適用除外にしてくれと求めているようだが、それは鑑札を俺た ちにもくれと言っているようなものだ。肝心なのはこの法案を無化することだ。 わたしは商売上手なので(と著書「カリスマ」を見せながら)、「カリスマ」の取材 が約三年くらいかかったのだが、例えば中内の特別背任をやっているようだという情報が僕の中に入り、その情報に関連する登記をみかん箱一箱くらいあつめて詳細に点検していく。そうするとどうやらこの情報は間違いなさそうだ、ということで書くわ けです。

 しかしこの法案によると個人の情報、つまり中内の特別背任の情報は本人に 確認しなければならない。 「中内さん、あなた特別背任やってるそうですね?」 「うんそーだよ、佐野さんよく調べたね」 そんなこというひとはいないわけ。つまり「カリスマ」という本は血祭りに上がる覚 悟でないと二度と書くことはできない。そういうことを皆さんここであらためて実感 していただきたい。

●永江朗氏(フリーライター)

 わたし主にポルノの仕事が好きでして、・・・縛ったりするのも結構上手いんで。 (会場 変な爆笑) いま割とポルノ仕事が減りつつありまして、青少年のポルノ狩りが方々で進行してい るんですが例えば・・・チン太郎が都知事になって都条例で不健全図書に指定される 雑誌が倍になったんですけれども・・・チン太郎がいけないっていうわけでもないん ですね。

 チン太郎自身はそういうものが好きなんだと思うんですけど、でも・・チン太郎的なものがそういうものをいけないことにしていたりとか(宮崎さんひたすら大受け)、ただ、書店界の流通の構造事態が変わってきていて、コンビニで売られてい る雑誌が多いんですけども、コンビ二でもポルノがどんどん締め出されつつある。

 小 さな店というのはポルノを割と多く置いてきたんですけど、成人指定になっているポ ルノが販路を失って、わたしの仕事も減りつつあるんです。先ほどから立派な皆さん が「俺が最初につかまるんだ」と一番競争されてるんですが、多分誰もつかまらないことになる。

 で、おそらくこの法案によって逮捕される人もほとんど出てこないん じゃないか。

 で、吉岡だの宮崎だの斎藤だのいってた、やっぱりあいつら狼老人だよ ねなんて言われちゃって、こういう法案ができても別にファシズムも来ないしなんに もないじゃん、ということになるんだと思うんですよ。

 それはポルノで進行している ことと全く同じで、それは流通の末端でもって合法的に自主規制が始まっていくんで はないかと。僕の言いたいのは流通の自由なくして言論の自由はないということを確 認したい。ここでライターだのノンフィクション作家だの発言していてもしょうがな いので、流通の末端の書店とか取次ぎの全ての人たちと連帯していかないかぎりこの 戦いには展望はないんだと確認していきたい。

●宮崎組長

この法案に対する理念的な問題はみなさんが説明されたので、これ以上触れません、 全く同じように考えます。

 ただ僕自身の問題意識として感じるところを2,3、述べたいと思います。僕がこの 法案に反対する最大の問題意識は、「この法案は僕の生業をつぶすだろう」と感じる からであります。

 ある人を取材していて、この会議に参加するのが少し遅れたのです が、この法案ができたら多分、取材する我々の側にはなんのプレッシャーにもならな いんだろうけど―ま、わたしにはならないんですけれども―取材を受ける側に躊躇は 明らかにあるだろうなと考えておりました。

 つまり商法を改正して総会屋を追い出し た論理に非常に似ていると僕は見ています。

例えば一勧・野村事件の小池という人が いました。商法改正で逮捕されるわけですけど、刑罰的に言いますと恐喝であげた方 がずっと刑が重たいんですね。

 現に彼がやった行為そのものは恐喝に近いものがある わけで、にもかかわらず微罪―商法違反で引っ張っていくというやり方は、それを認 めた会社側 一勧・野村に対してお上が影響力を持ちたいという強い欲求があったからであろう。

 今回の問題、佐野さんとかが今の既成のメディアの問題について「既成 のメディアはもっとしっかりしろ」という意見なんですが、僕は無駄だろうと見てい ます。

 既成のメディアというのは既に死んでいる。死んだ子の齢を数えるようなこと をしてもあんまり意味がないんじゃないかという気がしております。

 死んだ子である からそんな法案が認められるということになってるんだろうと思います。

 この法案の 問題点というのはつまり「ピンポイント」である。いままで聖典聖徒に対する批判を 行っていたのはマスコミの正規軍といわれる人たちではなくて、マスコミのゲリラ的 な部分、つまり雑誌メディアを中心として批判が多かったから、そこに対するピンポ イントの規制というものをしいてきたのだろうと。

 で当然僕らはものを書くわけで、 ものを書く際に書く媒体というものがあります。媒体に対する規制、あるいは自主規 制が一気に広がる可能性すら僕は感じるわけであります。

 それやこれやで反対していこうということにはなったんですが、僕がこの問題でどう しても議論しなくてはならないのは、この法案を考えた官僚であります。

 この法案を 自民党、あるいは連立与党の議員が考えたとは到底思えないわけで、議員との対決も 当然ながら、官僚との対決を一回やってみたいと思うわけです。

 多分この人たちは、 胡散臭い連中という風に十把一絡げで捉え、いかに規制していくか、つまりもっと言 えばゲリラ的なフリーの集団というものはこの世の中にあってはいけないものだとい う思いすら感じられるからであります。

 そういうところから考えて、今、橋本君がパ クられるということなんかを言ってましたけど、それも一つの方法だろうとは思いま すけれども、この法案が施行されたときのことを考えて、その(官僚と戦っていく) 体制を作っていく必要があるんじゃないのかなと考えております。


 

追走一杯でございます。 本日の記者会見行ってまいりました。

150人ほどの定員の会場に立ち見の人が多数出るほどの盛況で、関心 の高さが感じられました。

共同アピールの呼びかけ人で出席された方で、私が確認できたのは以下 の通りです。

(敬称略)

佐野眞一

吉岡忍

吉田司

魚住昭

久田恵

高山文彦

岩上安身

最相葉月

乙骨正生

宮崎哲弥

日名子暁

井家上隆幸

小板橋二郎

永江朗

高崎真規子

島村真理

久田将義

篠田博之

山田聡

宮崎学

他にも出席された方もいらっしゃったと思います。 まずは、呼びかけ人一人一人がこうした法案が国会に上程されている現 状に対して、それぞれの立場でコメントをされました。

久田

本来こうした法案はIT時代における個人情報を保護するためのものであ るはずであるのに、そうした目的から逸脱した形で法案が通されようと している。

小板橋

この法案は情報統制法である。例えれば、米の配給制度みたいなもの。 正規の配給以外の米は闇米であった。正規米は配給所で取り扱われたが、 配給所に相当するのが記者クラブである。

日名子

自分の告訴された経験を語られた。新たな法律を作らなくても現行法で パクることはできる。 それなのに、新たに法律を作るという構図は暴対法の時と同じである。

佐野

「日本ペンクラブ」が出版社やフリーランスの作家・ジャーナリスト等 は除外対象にせよと要求しているが、それは違うのではないか。あくま でもこの法律を廃案にすべきである。 (この件は後ほど創出版の方から訂正の発言がありました)

吉田 元

学生運動の闘士のジャーナリストの方々は戦え、パクられても構わな い、と勇ましいことを言うが、闘いを経験したことのないジャーナリス トもいる。そうしたものたちが声を上げてくれないと廃案に追い込めな いだろう。

斉藤

今法案だけを問題にするのは誤りである。「住民台帳基本法」などの一 連の法案とセットに考えなければだめ。 高山 産経新聞の記事で、「差別表現と思われる表現のある出版物は法務大臣 の権限で出版差し止めをする」というくだりを読んでのけぞった。 法案が成立しても自分は今まで通りやる。

宮崎哲弥

日本の言論弾圧の原点ともいえる法律、讒謗律は「個人の名誉を守る」 という名目で作られたが、実際には官への批判・皇室批判を潰すために 機能した。 「国益と言論の自由」どちらが大事か?という問題について、まず言論 の自由がなければ国益を語ることはできない。自由に議論できない状況 で国益を考えることはできない。よってその問題は愚問である。

乙骨

創価学会・公明党問題をテーマとして活動している。 学会からの告訴や正体不明者の尾行・ゴミ漁られをされている。 今法案の背景には批判を許さないという体質がある。

魚住

自分はジャーナリストであるから、批判を受けるのは仕方がない。しか し、未来のないこの国に自分の子供をおいておくのはつらい。外国に逃 がそうかとも思う。

永江

最近エロネタの仕事が減っている。 書籍の流通の世界では、コンビニエンスストアでのエロ排除の自主規制 が何年も前から始まっている。地方では小規模の書店が減少している。 そうした店舗にはポルノ雑誌の品揃えが多かった。 法案には関係なく、流通の世界が変わってきている。 「流通の自由」ということを考えないと仕方がない。 法案が成立しても自主規制が進むだけで、実際には逮捕者は出ないので はないか。

宮崎総裁

法案の狙いは、フリーで活動しているものの生業を潰すこと。 そうしたものたちをピンポイントで狙ってくる。 また、取材を受ける側のためらいが起きてくるだろう。例えば商法改正 後の野村・一勧事件での小池氏が恐喝でなく、罪の軽い商法違反で起訴 されたのはなぜかということを考える必要がある。 警察は商法違反にすることによって、企業側への食い込みをはかった。 同様のことが今法案でおこりうる。 法案を考えた官僚との対決を視野に入れなければならない。 官僚の発想は「異端排除」である。

太田出版社長

版元としてはチャンスだと思っている。避難所代わりにうちから出版してくれ。

岩上

報道する当事者の危機感が感じられない。 報道の現場はフリーのジャーナリストたちばかりになってしまっている 現状がある。

このあと具体的な行動について吉岡氏から話がありました。 要旨は以下の通り。

一 国会議員全員に公開質問状を送る

二 法案作成者(官僚)に公開討論を要求する

三 雑誌編集者・編集責任者に法案阻止キャンペーンを呼びかける

四 各メディアに、意見広告を載せる。

  掲載料を払って載せるのではなく、賛同するメディアに協力を願う

五 外国人記者クラブで記者会見を行う

  外国のメディアの方が関心が高い   外圧でもなんでも利用できるものは利用する

六 地方にも運動を広げていく  

 地方出版センターに呼びかけをする

そのほか フランスのジャーナリストの方からフランスでの現状についてのお話な どもありました。

今日の記者会見を聴いていて、しばしば耳にしたのは「自主規制」です。 印刷業者の方のお話にも「ピンクチラシは印刷しない」といった業界ぐ るみの自主規制といったことがでていました。

自主規制してお目こぼし をしてもらうと。 ジャーナリストもそうした流れに乗せられてしまうのか。

−「自主管理」という名のもとの「自主規制」を推進するための団体を 作りましょう。団体の会員は国家公認のフリージャーナリストです。自由に取材してください。ただし、許可したものだけですよ。

− なんてことになる日も近いのかもしれません。

そこに役人が天下りして、利権を漁ると。 法案では新聞社と放送局が適用除外になっていますが、まあそれも当た り前の話で、実際法律ができてもこの両者にはなんの影響も出ないと思 います。

全く影響ないということはないかもしれませんが、ほとんど変 わらないのではないかと思います。

総裁のおっしゃった、「取材を受ける側のためらい」というのは非常に 重要だと思います。

取材者はネタの出所を明らかにしなければならない ので、ネタの提供者の守秘ができません。

ということは、ちくったり、 リークする側は匿名性が守られないことになります。

ちくったのばれたら怖いから話さない、となれば、一連の警察不祥事な どは。今後明るみにならないまま闇へと葬られることが多くなるのかも しれません。

photo by Okunomiya

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