アメリカが「発見したビデオ」の真の狙い

 なぜ、世界のマスコミはこんなものを無批判に垂れ流すのか?

アフガンもパキもスーパースター

ビン・ラディンを殺させたらアホやで

 

宮崎学である。

 

 実にタイミング良く「オサマ・ビンラディンのビデオ」が「発見」されて世界にながれとる。ケンカはまけるとやられほうだいになるの。偽物かホンモノか?んなことは結果に影響を与えない。今、どんな影響を与えるか、だけが大事なんやからそこだけかんがえたらわかる。

 このビデオの狙いは、

「ビン・ラディンを殺してしまえる」可能性の高まりと連動してでてきたということや。

 一方的にB52の爆撃とかでなぶり殺したら世界中の人々が「アメリカは酷いことをする」と皆おもうやろ。それを防ぐために「やっぱりこんな悪いやつやったんや」というイメージを事前に流す、というわけや。

 そもそも、アメリカは「証拠がある」ちゅうて10月に空爆を始めた。その「証拠」は「11月に撮影された」というこの「ビデオ」ではない。だとしたら、「空爆を始めるに足る証拠」とはいったい何だったか?

 という程度の疑問をなぜ誰も発しないのかね?誰にも見せられない「証拠」など証拠とはいわない。すると、アメリカは証拠は実はないのに平気でよその国民を爆撃したのだ、ということになる。むろん真っ先に日本は「支持」し忠誠を誓っておる。

 それをさらに「今度はもっと新しい、本当の証拠でっせ」とだしてきたのがこのビデオだ。疑問を発しないマスコミは「内容」を世界に炭素菌以上にバラまいとるがな。

 そもそも、誰が、いつ、どこで、どうやって手に入れたかいっさいわからないビデオやがな。すでにわれわれ電脳キツネ目組は、タイの田中義三事件でアメリカ政府機関は必要とあらば札束を植え込み指紋でさえ偽造しよった。またしたことを裁判のなかで明らかにしてきた。

 ましてビデオなんちゅうもんはなんとでもなるんや。

 どうせ信じるやつは信じる、信じないやつは信じない。その間におる人間らが揺らげばあのビデオは役割を果たすのや。安心してビンラディンを抹殺して、そしたら国際社会はもとどおりの豚の眠りについて、アフガンのことなんか忘れられる。

 しやからむしろ今、ほんまはアフガンの諸勢力はビン・ラーディんとかオマルとか、賞金につられて追いかけるふりして、懸命に逃がさんとあかんのや。 ビン・らでぃんもオマルも殺されてしもたら、世界中すぐアフガンのことなんか忘れてまうんやからのう。

 ビン・ラディンはアフガン、アラブのみならず、いまや世界ニュース界の「スーパースター」なのだ。一人でデイズニーランドとデイズニーシーをあわせた以上のパワーがある。スーパースター不在では世界の最僻地の「アフガンの今日の出来事映画」なんかだれもみるやつおらんがな。ジャーナリズムもすぐおらんようになって忘れられる。

 復興に「国際社会」なるもんからゼニ引き出すためには、アフガンとパキスタンはビン・ラディンをへぼ将棋のように逃がすように逃がすように追いかけなアカンのや。まあ、アメリカのかけた「35億円の賞金」はそれをさせんためやけどな。

 それにしても、アルカイダとタリバンが、予想以上にもろかったな。

 「国際社会」、すなわちアメリカ、ロシア、イギリス、中国の巨大パワーに日本までくっついた連合戦線、その実はアメリカだけの空軍力に対して、まったく歯が立たないで戦線が崩壊してしもたなあ。「北部戦線」なんちゅうのはまっとったら利権争いで崩壊するんやけど、それ以前に、自壊してしもたらこれは負けや。不徳のいたすところやなあ。

 まさにゲリラ戦にひつような「人民の海」がなかった。何より「軍閥の支持」も得られなかった。

 どころか、 アメリカの札束攻勢も当然あったろうが、あっちうまに支持が崩れたのは戦国時代の下克上的な国情とともに、それ以前に昨年のオマルがやった「麻薬栽培禁止令」が、軍閥の資金源を直撃していた公算がかなり強い。あれで地方軍閥、部族間の支持率ががたべりやったようだ。

しかし、いま勝ったというても、その勢力ちゅうのはアメリカですら「北部戦線は味方ばかりでない」ちゅうぐらいしたたかでひどい連中なのだ。

 しやからこれは膿んだ盲腸を抗生物質で力づくで散らしたようなもんやから、いずれもっとひどいことになることは残念ながら間違いないやろ。

 日本の保守反動論客のレベルの低さ

 日本の保守反動論客は「アフガンの女性が解放されて喜んでいる。この戦争に反対したやつ、辺見庸らは無責任だ」などとほざいておるが、アホかいな。無責任なのは、そもそもタリバンちゅう鬼ッ子をうみっぱなしにしてほったらかしといたアメリカと国際社会やんけ。そないな連中に、しっぽ振るだけの「ゲンロン」なんちゅうのは馬鹿馬鹿しい限りである。あいつらの目的は、そんなもんやない。そんなに「女性の解放」が大事なら、サウジアラビアで、クゥエートでアメリカはこの半世紀、なにをやってきておるんや?ちょっとは進んだのかね?

 アフガンに不幸をもたらしたのはソ連とアメリカのパワーゲームである。そのなかで生まれて育った存在がタリバンであって、そのいわば「私生児」が親に向かって歯向かってきたとたんに、自分らは傷つかぬ圧倒的な空軍力で「勝利」した。アフガンのこれからは、「勝利した」連中は、「アメリカの爆弾に助けられて政権をとった奴ら」なのだ。負けた側のこの恨みは消えないし、勝った側も自信なんかないから、ますますひどいことになるだろう。

 どさくさにまぎれて、イスラエルの極右政権は見かけだけの「パレスチナ自治」の張りぼてまで火いつけはじめた。あれは国際社会にたいするイチジクの葉の役割もたしかにしていたのだが、これも燃えて困るのは、さいごにはどっちかわからんで。

その意味では、緒方ちゅうおばちゃんのいうとおり「アフガンがおかしくなれば日本も危ない」のは正しい。だから今後、日本は落ち目になるばかりでなく「いると危ない」ようになるだろう。まあ、サッカー好きなやつはW杯は海外いって、逆にテレビで観戦したほうがええ。

  国家アメリカは揺らいだ 底の浅さが丸見えだった

 というわけで、例によって頼りない日本はともかく、国家としてのアメリカはそうとうに揺らいだ。それで焦ったなというのがあの「ビデオの発見」についてのわしの感想だ。

 情報操作の裏側が透けて見えるような「大本営発表」だが、それを疑問に思えないか、おもっても口に出せないのか、おどろくべきはメディアの衰退だ、といわねばならない。皮肉ではなく我が国の報道機関はなべて「広告産業」に脱皮してしもたんやろ。かっての時代の蒙古斑として弱い相手にだけは噛みつくんが「さっちー報道」とか「マキ子バッシング」やろけど、ほんまに強いとこにはゼッタイにかかっていかない。ちょうど、メモリからもこのモンダイで「投稿」がきておるから、のせておく。

 お、そや、コマンダンテ・戸田の本がでるとかでた、とかいうておった。そろそろ本屋にならぶらしい。どうせすぐ姿を消すから、みたやつは速攻で購入せなあかんでえ。そやかて発行はあのセンチュリー明月堂やし。

 

なに、わしは缶詰期間中の上に、インフルエンザにやられてもた。ようやく回復したら、今度はパソコンがウィルスだらけになっとるやんけ壊れてしもた。当分電子メールでわしには連絡がつかない、とおもてくれ。やれやれ。そんでもメールしたいやつはメール秘書へ。まる1日後には連絡はつくが返事はメールではでけん。

                     ではまたな

     2001/12/13

 

 


 

目森です。久しぶりに投稿します。

 アフガンでの戦争について考えたい。

三つの事がある。二つが主要なことがら で、後のひとつは付随する周辺的な話だ。一つ目はアフガンでの戦争の事、二つ 目は戦争の報道にまつわる話、三つ目は裏世界についてだ。  

アフガンでの戦争は、アメリカが、これしかないと思える方法で勝ちつつある。

 アメリカはアフガン全土を焦土と化してもおかしくないほど大量の爆弾とミサイルを投下し、タリバン政権を削り崩した。

 アメリカは旧ソ連のアフガン侵攻の失敗をよく研究し、学んだ事をこの戦争に活かしたのだろう。誤解を恐れずに言えば、見事なやり方をしたのだろうと思う。

 そういう言い方をすれば、同時多発テロも見事な作戦だったと言う。

 テロリストはナイフを使ってハイジャックを行った。これはアメリカの空港などの保安体制の裏をかいたやり方だった。

 アメリカの保安体制は爆弾や銃器など火薬を使っている武器の使用を想定して組み立てられていた。

 アメリカの空港などの探知装置は金属を探知する機械ではなく、火薬探知機だった。これは地雷除去をしているNGO、NPOが欲しがっているものだ。しかし、テロリストはナイフという別の武器を使った。

 これまでナイフを使うハイジャックは想定されて来なかった。しかし、今度のテロによって、それならば機内食の食器でハイジャックが可能ではないかという議論が一部にある。  

アメリカのシステムを完全に出し抜いた、同時多発テロの発想、実行力、組織力は高度なものだったという。

 アメリカにしろテロリストにしろ、人間というものはロクでもない事に高度になったり、見事になったりするものだとあきれるが、今、それは置いておこう。  

アフガンでの戦争を始めるに先立って、アメリカはもうひとつの戦争を始めている。情報の戦争だ。  アフガンでの戦争そのものよりも、私たちにとってはこちらの方が直接に身をさらす戦争だと思う。

 アフガニスタンという、場所もよくわからなかったような国での戦争が、毎日、新聞の一面を飾り、テレビで報じられる。

 この報道によって、本来私たちにとって遠いものでしかない戦争が強引に私たちに押しつけられているように感じる。

 かつて旧ソ連がアフガンに侵入した時、日本人がどれほどの関心を持っただろうか。マスコミがどんな報道をしただろうか。戦争や紛争は他にも、絶望的にたくさんあるのに、どうしてこの戦争だけが特別に扱われなくてはならないのか。

 ほとんどの日本人はアフガンに感心を持っていないし、マスコミにアフガンが登場する事はあまりなかった。

 それなのに、アフガンについて、ことさらに報じられるのは、アメリカがそうしたいからだとした言いようがない。

 報道される情報のほとんどは、アメリカが流しているが、アメリカの便宜で成り立っているという意味で、アメリカの意図にそって流されている情報だ。

 アメリカから流れ出た情報が、マスコミによって増幅されながら大きな波となって世界をひたし、押し流そうとしている。

 これが、アメリカが世界に向かってしかけている情報の戦争だ。  情報の大波は私たちを圧倒する。そして、私たちは「テロか、反テロか」という問いをつきつけられている。

 この問い、あるいは踏み絵は、アフガンでの戦争に折り重なってはいるが、本当は別の文脈に乗っている。アメリカが世界を巻き込むためのレトリックとなっているという事で、分けて考えた方がいいものとなっているのだ。 「テロか、反テロか」というこの問いは、グローバリズムの文脈にある、新しいアーティクルと考えた方がいい。  これまでグローバリズムが経済として語られてきたものとすれば、今度は政治が前面に出てきた。これまでのグローバリズムが@(アットマーク)グローバリズムとすれば、その新たな展開であるこの動向はスラッシュ(/)・グローバリズムとでも名付けられるものだ。

 日本にいる私たちにとって、この戦争は、アフガンで行われている戦争であるよりも、直接私たちがさらされている、スラッシュ・グローバリズムによる情報の戦争だ。  私はテロにも戦争にも反対していない。支持しているわけではないが、現状ではしかたのない事と考えている。

 ヤクザがカチ込みをくらったら、喧嘩をするのがあたりまえだ。そう思えば、アメリカが戦争をするのも当然だと納得するしかない。確かにアメリカはヤクザではない。だが、国家だ。

 日本人にとってアフガンでの戦争は、日本とアフガンの間の距離と同じく遠い。スラッシュ・グローバリズムは強引にこの距離をつめさせて来る。同時に、「テロにも戦争にも反対」という反戦運動は、感傷でこの距離を飛び越えている。

 ベトナム戦争には反対したが、カンボジアは無視し、中越戦争も無視し、旧ソ連のアフガン侵攻も無視し、今度は反対をはじめるという程度の反戦運動などタカが知れている。

 また、情報の戦争をしかけているアメリカは、情報の大量流通にともなう当然の副作用のひとつとして、反戦運動が起きる事ぐらいは折り込みずみだろう。  テロリストには反米的正義があり、アメリカには反テロの人道的正義があり、反戦反テロにも、もちろん人道的正義がある。

 これらのどの正義がより正義であるのかの陣取り合戦など無意味だ。それぞれが自分のいる場所を言っているにすぎないからだ。  それよりもそういう「正義」と情報の戦争によって見えなくなってしまう、自分の位置とアフガンとの現実の距離の認識の方が重要なのだと思う。

 戦争もテロも、ここしばらくはなくならない。いや、なくす事はできないかもしれない。だが、もし、なくせる可能性があるとしたら、アフガンと日本との間よりも、はるかに遠い距離を埋めなければならない。

「テロか、反テロか」を問うスラッシュ・グローバリズムに、「テロにも戦争にも反対」と対置してみても、許容範囲でしかない。  本来はわきまえるべき距離を、ないものであるかのようにふるまおうとする点においては、スラッシュ・グローバリズムも反戦も、同じ流れなのだ。

 アフガンでの戦争は、アメリカが勝ってしまえば終わる。だが、情報の戦争は始まったばかりだ。

 私たちはこれから、スラッシュ・グローバリズムに本格的にさらされる事になる。  2001年11月21日の英インディペンデント紙が「阿片農民、タリバン崩壊を歓迎」と報じている。この戦争の周辺に麻薬がある。

 アフガンの麻薬はアフガンを含む黄金の三日月地帯からトルコを中継してフランスに入り、アメリカに向かう経路に乗っていた。フレンチコネクションというやつだ。  麻薬と言えば、世界最大の麻薬消費地はアメリカだが、そのアメリカは同時多発テロ以後、国境の警備を強化している。

 そうなると、南米からの麻薬、アジアからの麻薬、そして、フレンチ・コネクションの麻薬の流入が止まる。

 しかし、今のアメリカで麻薬がなくなったという話は伝わっていない。

 誰かが流入を確保しているのだ。

 それは米軍と米情報機関の他には考えられない。

 歴史的に軍隊と麻薬はつきものなのだ。阿片戦争の英国軍、インドシナにいた仏軍、中国赤軍、中国国民党軍、キューバ軍、それに旧日本軍も麻薬をあつかっていた。ロシアと闘っているチェチェン軍は、チェチェン・マフィアの麻薬商売を援助して戦費をまかなっている。米軍もやっている。

 戦争には金がかかる。軍隊は表の金だけで動いているのではない。アフガンの北部同盟などは表の予算がないのだから、全部裏金でやっているはずなのだ。

 戦争の裏側にはこうした事態も動いている。この戦争が終わった後、世界中におびただしい量の麻薬が出回るだろう。

 アフガンでの戦争は、麻薬を媒介にして世界化される。それが、これから世界史の裏面で進行する事態だ。

脳キツネ目組バッチ 

 

●宮崎学 雑誌ダカーポに、野中広務論連載中。