『警官の拳銃撃ち放題』では

凶悪犯罪は減りはしない!

 

今週のテーマ

警察官の拳銃使用条件緩和

警察官の殉職増を受けて警察庁は拳銃使用の際の 規制を緩和。威嚇射撃や警告の必要なく実射可能とし、射撃時の警察庁長官への報告も相手が死傷したときのみとするなどの規則改正を通達。12月1日から施行される。これに合わせて射撃訓練の回数も年4回以上とするなどの義務も加えた。

 

 

 

 世の中、テロだ炭疽薗だと大騒ぎしておるが、実はその裏で、これらに匹敵する恐ろしい 決定がなされている。

 警察庁が12月1日から、警官の拳銃使用条件を大幅に緩和すること にしたのである。

 従来は威嚇射撃と警告のあとにしか、実射ができなかった。「止まれ! 止まらんと撃つぞ!」と犯人に向かって発射してからでないと、犯人を撃つことができな かったのだ。それが今後は「ほかに手段がない場合」という曖昧な条件さえクリアできれ ば、いきなりドキュンとやることができるというわけだ。

 これと相前後して警察庁は全国 の28都道府県警に対し、今年度中に1379丁のサブマシンカンを配備することをも決定し ている。このための予算は90億円以上という。

 

 世の中あらゆるものが、グローバルスタン ダード化しているが、今回の一連の動きは、銃を取り巻く環境も今後はアメリカ並みにす るという警察当局の意思表示であり、銃器に対する考え方が180度変わったと言ってもい いだろう。当局は銃器の使用条件緩和の理由として、凶悪犯罪の増加をあげている。

 確かに昨年度の凶悪犯罪の検挙率は約24%にまで落ち込んでいた。これが上昇するのならいい が、はっきり言えばそんなことは絶対にありえない。例えば世田谷の一家惨殺事件。警官 がマシンガンを持っていれば解決できたかっちゅうことだ。警察の本当の目的はもっと別 にあると、俺はにらんでいる。

 第一は、自衛隊との縄張争いに勝つためだ。テロ騒動以降 、首相官邸などの警備を自衛隊に任せてはどうか、という意見が出ていた。こうした動き への対抗措置として、武装を強化したのである。テロ騒動をテコに多くの省庁が自分たち の利権拡大を画策してきた。自衛隊の海外戦場への派兵などその最たるものだが、中でも 今回の警察の対応は最も迅速だったと言えるだろう。まさに火事場泥棒である。

まずは警察官の不祥事を減らせ

 第二は、最近急増している警官への殺傷事件から、警官自身の安全を守るためだ。犯罪自体がえげつなくなっているとはいえ、要は警官が犯罪者より弱体化しているから、武器を 持たせてくれ、と泣きを入れたわけである。情けないことやな。

 終戦後、GHQが米国のよ うに日本の警官も銃を常に携帯するよう要請してきたが、当時の当局は最後まで拒んだと いう。自治体警察、いわゆる自警団的な意識が強かったため、銃口を市民に向けることに 対する拒否反応があったのだろう。

 さらに言えば、当辞時は非常に治安が悪かったから、 警察が襲われて銃がちま たに出回ることさえも危惧していた。つまり、自分の身よりも市民の安全を優先していた わけだ。、俺としても、今の警察にそうした意識が少しでも残づていれぱ、文句はない。

 しかし、現実はそうではないことは、一向に収まらないヤツらの不祥事を見れば、明らか である。神奈川県警の一連の不祥事のあと、警察刷新会議という組織を作ったが、これも 骨抜きのものだった。致命的なのは外部監察機関の設置を実現できなかったことだ。これ では「身内に対して甘い」警察の悪習が根絶されるはずがない。要するに反省する気持ち などまったくないのである。最近も滋賀県警巡査長が、婦女暴行容疑で逮捕されている。

 報道によれば、23歳の独身女性宅に忍び込み、女性をナイフで脅してレイプしたあと、.行為の写真まで撮影していたという。これをネタに恐喝して、金を巻き上げようとでも思 っていたのだろうか。

 しかも、あきれるのは、こうした不祥事が減らない理由を、慢性的 な人手不足にあるという奇弁を持ち出して、大幅な増員までやってのけている。昨年度3500人、今年は5000人も増えた。まさに焼け太りである。

 現在、警官は全国に約24万人いる というから、そのうちの3%以上が、ほとんどズブの素人ということもできる。

 俺 が言いたいのは、こうした未経験な素人違中が大勢いる集団に、はたして銃を安易に使用 させでいいのか、ちゅうことだ。このまま進めば、赤塚不二夫のマンガに出てくる、何か といえばピストルを撃ちまくっているお巡りみたいなのが、街中にあふれることになるの は明らかである。

 あまり知られていないようだが、先日も、沖縄で検問を突破して逃走しようとした自動車に対し、10発の銃弾を撃ち込むということが起こっ ている。

 捕まった男からは覚醒剤の陽性反応が出たとはいえ、その時点では、相手はただ の暴走車である。それに対し、いきなり銃弾を撃つことが「ほかに手段がない場合」に該 当するとは、どう考えても思えない。少なくとも、一昔前ならパトカーで追跡して取り押 さえていたはず。こうした行動を見るかぎり、手っとり早く犯人さえ捕まえればそれでい い、もっと言えば、検挙率さえ上げられれぱそれでいいと思っているとしか、考えられな いのだ。

 百歩譲って、警察官がまじめに犯人逮捕のために拳銃を使ったとしても、世の中に銃が 日常化すること自体が大間題だ。

 これまで日本が世界の先進国の中で比較的治安がよかっ たのは、国内に存在する銃の数が圧倒的に少なかったことにある。多くの国民は、銃に対 して嫌悪感を抱いていた。これが銃の蔓延に対する抑止効果になっていたとも言える。

  ところが、今後、町なかでの銃撃戦が日常化することになれば、銃の存在自体も特別な ものではなくなってしまう。これが非常に危険なのだ。むろん、警察と敵対するアウトロ ーも、銃で応戦することを考えざるをえなくなるから、結果として凶悪犯罪の発生率も増 えるだろう。

 警察は凶悪犯罪を減らすどころか、増加の種をまいたといっても過言ではな い。泥沼への第一歩を警察がみずから踏み出したとしか俺には思えないのである。

  (アサヒ芸能 11月29日号 キツネ目事件調書より )

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