キツネの闇事件調書シリーズ

       


 

宮崎学である。

 新宿雑居ビル火災の死者44人など、簡単に忘れられそうなニューヨークの大事件が起きた。日本がいかに平和かちゅうこっちゃ。が、その後のマスコミの反応をみとると、「本質と関係ないほうへ、ない方へずれていく」対応はいっしょやな。歌舞伎町事件の本質は報道がふかまるにつれてわけがわからん「事故」になってもた。本質はまるでちゃうとこにある。いかなる大マスコミも書いてないがね。同じ事が、ニューヨークの事件に対しての反応でも起きている。この国の反応はまるでアメリカに対する「忠誠心ゲーム」とマネーへの心配しかないようだ。まあ、したたかなヨーロッパのやつらはすっかりわかった上で、ブッシュに調子会わせて演技しとるんやけど、この国のアホ政治家はホンキになりかねない。それらにだまされないように、まずはわしの歌舞伎町の真相論をしっかりよんでおくように。 (9月13日未明)

 


 

歌舞伎町ビル火災死者 

44人は違法営業店と警察裏癒着の犠牲者だ

宮崎 学

(アサヒ芸能9/20日号掲載)

 死者44人を出した新宿・歌舞伎町の雑居ピル火災。識者と称する連中が、この事件について、様々な意見を述べているが、その大半は噴飯ものだ。中には「こうした店に出入りする際は、避難階段や防火設備の有無を確認するべきだ」というものまであった。バカかお前らほ。お姉ちゃん目当てで風俗に来ている奴や、博打をしに行っている奴が、悠長に避難階段など確認するか。第一、店先でそんな こと聞けば、店員に追い返されるに決まっている。この種の意見は小学生相手に交通 安全指導しているようなもの。大の大人に対してすること自体、常識を疑う。

 俺がこの事件で問題にしたいのは、公的責任がどこにあるのか、ということだ。1つは消防の問題だ。消防法に違反しているのは明らかなのに、それを放置していたからだ。しかし、それ以上に追及すべきは、警察当局の責任である。なぜなら、事件の現場が、賭博と性的サービスを行う店だったからだ。警察はそこで何が行われているか"間違いなく把握している。報道によれぱ、いずれも無許可の違法店だったというが、それは正式な手続きを踏んでいないというだけで、警察は黙認していたのである。その意味で二重の失態と言ってもいいだろう。

ではなぜ、警察はこうした事実を知っていたにも関わらず、見て見ぬ振りをしているのか。答えは簡単。そのほうが、自分たちがおいしい思いができるからである。

 かつて、こうした業者からミカジメ料を要求するのはヤクザと決まっていたが、今や警察がその上前をはねているのが現実だ。

『歌舞伎町ビル火災』死傷者47人は違法官業店と讐憲Q癒着』の犠牲者だ。 今回の出火元と見られる麻雀ゲーム店などを開業するうえで、裏の許可があるという。これをその筋の業界でほ「8号許可」と呼ぶのだが、許可を取るためには月あたり最低50万円を警察に渡す必要があるという。

 いうまでもないが、これは裏金で、正式なものではない。歌舞伎町の場合は恐らく新宿署が窓口になるのだろうが、関係者の話では警視庁本庁までそのカネは流れているというから呆れるぱかりだ。この8号許可を得れば、派手な金のやり取りなどをしないかぎりは、1年間は手入れを食らわずに済むという利点があるらしいが、カネを払えば必ず許可が出るとは限らない。ヤラずポッタクリもあり得るわけだ。そこで、許可付き店舗の権利が高値で売買されるということにもなる。8号許可付き店舗になると、最低500万円はするというが、こうした権利が次々と転売されること自体、大間題だ。以前、取材した渋谷のヘルス経営者も「ミカジメ料を払っていた時代のほうがよかった」と嘆いていた。指導に来 る警察官のなかにはタダでやっていくやからがいる。それも、若い奴は非番のときなど朝、昼、晩と3回もやっていくこともあるので、女の子もいやがる。

 ちなみにヤクザのミカジメ料の相場は風俗店で10万円から20万円。月に何度もタダ乗りされるぐらいなら、経済的にもこちらのほうがリーズナブルなのだ。

★風営法の改正が作った利権構造

 

死者をだした2店は、いずれも風営法上の正規の許可を受けていなかったという。それでも派手に看板をだして堂々と営業していたということはおそらく警察に対しても相当の裏金を流していたのではないか。警察腐敗には構造的な者と現場的な者があるがこれなど現場腐敗の典型的な例と言っていいだろう。

 こうした腐敗が生まれる背景には風営法の改正によるところが大きい。風営法はこれまで幾度となく改正されているが、最大の変更は85年。法律に基づく許可の窓口が、それまでの保健所から警察の保 安課(現在は生活安全課)に移ったことだ。これによって警察の風俗業界に対する利権構造が確立したとも言える。

 許可する権利と取り締まる権利が一手に集まったことで、警察はまさに好き勝手ができるようになったからだ。数年前、神奈川県警の現職 幹部がヤクザに身内の巡査部長を銃撃させるという事件が報道されているが、これも警察内部における風俗業界の裏金を巡る争いが動機だったというから、開いた口がふさがらない。逆に言えば、仲間を殺しても手に入れたいほどうま味があるわけだ。俺は売春や賭博を禁じていること自体が大間違いだと思っている。百歩譲って、違法だとして、それが厳格に適用されていれば、こんな事故は起きなかったのである。

 しかし現実は、違法を知っていながら、許認可と逮捕権という絶大な権力をバックに個人的な利益を得ているのが、警察の姿だ。今回の火災は賭博と売春という違法業種と警察のもたれ合いが生んだ悲劇とい っても過言ではない。火災事故以降、同種の店が閉店しているのも、警察からのお達しが出た可能性がある。不祥事に発展する危険があるだけに、慌てた警察が、違法店のつぶしに動いているのではないだろうか。

 こうした状態が続けば、現在は50万円でとれていた許可の値段もさらに高騰するのだろうが、そのためのコスト負担は、最終的には客が払う料金に上乗せされるしかない。なんとも困った話である。ただ、あえて言わせてもらえば、もともと「飲む、打つ、買う」には危険がつきものなのである。とりわけ打つと買うは明らかな違法行為。にも関わらず、多くの人は法を犯しているという自覚がない。'そこには当然、リスクがある。どんなに時代が変わっても、風俗や賭博が健全な場所になどなりはしない。ああした場所は、ある種社会からドロップアウトした人間が、なんとか生きるために選ぶ職場という側面 があるのだ。それが多くの人にとって日常と切り離された空間としての魅力を生んでいるのだが、それは同時に様々な危険とも隣り合わせだということだ。万が一のときには、火災に遭うかも知れないし、逮捕される可能性もある。事件になれば氏名が新聞に載ること もある。それを承知したうえで、遊ぶべきではないだろうか。

 

今週のテーマ新宿.歌書借一町ヒル火災9月-日未明、新宿区歌舞伎町の雑居ピル「明星鴉ピル」の3階エレベーターホール付近で出火、3階の麻雀ゲーム店、4階の風俗店の従業員と客44人が焼死した。ベンシルビルと呼ばれる、屋内階段がーカ所しかない独特の構造、避難設備の不備などが指摘されているが、出火原因はいまだ不明。